内装リニューアルと標榜科目の変更

1. Cクリニックの概要

  ・ 院長: 男性 48歳

  ・ 標榜科目: 内科・小児科

  ・ 所在地: 東京都郊外テナントビル1階


 Cクリニックは、東京都郊外で私鉄の最寄り駅から徒歩10分にある。近隣には古くから住居を構えているご高齢の方々に加え、都心まで30分という便利さから比較的若いサラリーマン世帯も多く人口密度は高い地域といえます。
クリニックは「事務所仕様」のテナント物件でしたが、立地条件、面積等に満足して、友人から紹介を受けた設計・施工業者に診療所として適しているかの判断を仰ぎました。業者のチェック結果は面積、天井の高さ、電気容量など構造上の問題は特になく、エアコンとお手洗い以外は現状のまま使用できるということで、内装費用も抑えられるとのこと。 開業資金を抑えたかった院長には好都合の物件であり賃貸契約をしました。
 診療所のレイアウトでは動線、医療機器の設置場所とサイズまた、オンライン関係への配慮が必要となります。そこで院長は設計・施工業者に加え経験豊富な医療コンサルタントと医療機器に精通している業者を交え検討を行いました。着工後1ヵ月強、Cクリニックは「キッズコーナー」も設けられた清潔感のある診療所として完成いたしました。

2. 相談事項と問題点

 開業当初の患者数は1日あたり10名前後、以降平常期で40名を超える時期もありましたが、ここ数年は30名程度に減少しており、内科・小児科としては必ずしも順調な状況とはいえません。ここ数年の患者さん動態を年齢層で見みると成人には大きな減少は見られないものの小児患者の減少が顕著です。
 Cクリニックにおける小児患者減少の要因は人口動態によるものではなく一昨年、程近いところに小児科専門の診療所が開設されたことが大きな要因であるといえます。このように新しい競争相手が出来ることはやむを得ないことであり、既存の診療所が影響軽減を目的とした対応を図ることは必須のことであります。

3. コンサルティング

 院長の構想は、小児患者は新たに開業した診療所に任せ、自院は専門である循環器を中心とした内科診療所に特化し高齢の患者さんを取り込もうというものです。開業以来、循環器専門医の認定書を掲示しておりました。そこで、小児科の標榜を廃止し、循環器を織り込んだ「内科、循環器内科」に変更し専門科目をアピールすることを勧めました。また、患者さんの不便を軽減し更に滞在時に心地良さを感じていただくために待合室を中心に院内をリニューアルすることを決意しました。とくに、高齢者に対して「待合での心地良さ」を提供するように内装業者に依頼しました。

  【リニューアルの内容】

 1. 入口のバリアフリー化

 2. お手洗いの間口拡張

 3. 床・壁材の貼り替え

 4. 待合の照明器具の手直し


 【新しく導入された医療機器】

 1. 最新型の牽引機

 受付では「楽だわ…」の声が聞かれます。新たに導入した牽引器の評判も上々です。序々にではあるものの高齢の患者さんが増え半年後には1日40人を越えるようになりました。また、小児の患者さんは新しい小児科診療所への紹介を心がけており、同診療所からの紹介患者さんもおり “診・診連携”も根付いてきつつあるようです。 院長にとっては大きな決断でしたが、“院内の心地よさ“と併せ、慢性疾患をもつ高齢患者さんには専門性を発揮した分りやすくクリニックとして認知されたようです。

5. まとめ

患者数の増減要因の中には、新たな競争相手が出現するなどの外部要因があります。対策は個々の事例によって異なりますが本事例は、近隣に新しい診療所が開設されたことを機にターゲットとする患者層(診療科目)を絞込むと同時に高齢者にマッチするよう院内環境を整えたというものです。
 建物の構造や診療への影響、また、費用などの点からリニューアルを躊躇されることが多いと思われますが、不便を感じていている患者さんが徐々にはなれていく可能性も考えられます。埋もれがちな患者さんの声を聞きだし(アンケート)院内環境の改善を図ることは増患対策のひとつとして検討に値するものと考えます。
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