よくある質問
新規開業について 
準備期間と開業心得
開業までにどれくらいの準備期間が必要ですか?
開業準備の心得を教えてください。
開業コンサルタント
開業コンサルタントを利用する必要はありますか?
開業コンサルタントに依頼すると、どのくらい料金がかかりますか?
開業コンサルタントはどのような視点で選んだら良いでしょうか?
開業資金
開業するためにはいくら必要ですか?
開業資金の一部を親や親戚から援助してもらいたいのですが、どのようにしたらよいでしょうか?
開業時銀行借入の返済期間はどのように設定すればよいですか?
親・兄弟や親戚を保証人にしたくないのですが、担保がなくても融資してもらえるのですか?
融資申し込みに必要な書類は、自分一人で用意できますか?
開業場所の選定
開業場所はどのように探したらよいのですか?
診療圏調査はどのようにすればよいのですか?
内装・設備
内装設備には通常、どのくらいかけるべきですか?
知り合いに内装業者がいるのですが、専門業者に依頼した方がよいのですか?
資金が足りないのですが、医療器械はどこまでそろえるべきですか?
その他
医師会には加入した方がいいですか?
開業前の費用は経費になりますか?
運営・節税対策について
基本的節税対策
30万円未満のものは全額費用にできると聞いたのですが?
社員旅行は経費になりますか?
残業食事代は経費になりますか?
海外渡航費は経費になりますか?
ホームページの製作費は経費になりますか?
車両の購入を考えていますが、税務上新車と中古車はどちらがおすすめですか?
決算が近いのですが、今からできる節税対策はありますか?
個人病医院特有
「概算経費の特例」とはどのような制度ですか?
青色専従者に支払った給与は、いくらまで経費になりますか?
これだけはやっておくべきという節税対策はありますか?
家事関連費は必要経費となりますか?
交際費はどこまで必要経費になりますか?
医療法人特有
役員給与の考え方を教えてください。
役員給与の決め方、変更の仕方はどうしたらよいでしょうか?
役員社宅の有利な使い方を教えてください。
生命保険の上手な利用の仕方を教えてください。
出張手当てについて教えてください。
新規開業について
準備期間と開業心得
Q 開業までにどれくらいの準備期間が必要ですか?
A 慌てて開業すると、開業後にいろいろ苦労します。
1年半くらいかけるつもりで準備してください。
開業までにどのような事をしなければならないかということを、スケジュールに落とし込んでいってください。そのうえで、各項目について留意すべきことをできる限り把握し、確実にステップを上っていくことが、結果として成功する開業の近道となります。
Q 開業準備の心得を教えてください。
A 同じ診療科目で成功している先輩などの診療所を見学し、成功のポイントを自分なりに理解し、現場の声などもを聞きながら、それを達成するための経営理念、診療コンセプト、また、患者接遇や内装設備などを書面にしっかり書き上げていくようにしてください。
こうすれば成功するという自信と確信が持てるようになるまで考えを練ることをおすすめします。
一方で、いろいろ心配事が湧き出て、開業を延ばそうかと悩まれることもあると思いますが、「苦労はあるが絶対成功する!」という強い意志を持つことが大切です。
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開業コンサルタント
Q 開業コンサルタントを利用する必要はありますか?
A 医院を開業された先生方の多くが何らかのコンサルタントを利用しています。
医療業界や開業に詳しい、実績が豊富で信頼できるコンサルタントなら、先生お一人で準備するより効率よく、的確に必要な開業業務をスケジュール通り進めてくれます。
勤務状況から開業準備の時間がなかなかとれない先生の場合は、開業コンサルタントを上手に利用するとスムーズで効率的な開業が可能となります。
Q 開業コンサルタントに依頼すると、どのくらい料金がかかりますか?
A 開業コンサルタントなどの専門業者の料金は100万円~200万円といわれております。
薬品卸売業者など無料相談を行っている医療関連会社もありますので、一度ご相談ください。
Q 開業コンサルタントはどのような視点で選んだら良いでしょうか?
A コンサルタント料金によって当然ながらサービスも違うと言えますが、中には料金が高くてもあまり動いてくれないコンサルタントもおります。先生のためにどれだけ親身になって支援してくれるコンサルタントであるかがポイントになります。信頼できる知人からの紹介などが最も一般的ですが、何よりも自分自身で面談してきちんとした印象を持てる会社、担当者を選ぶことが大切です。また、契約前の初期段階でどこまでやってくれるのかをしっかりと確認しておきましょう。
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開業資金
Q 開業するためにはいくらくらい必要なのですか?
A 診療科目、診療コンセプト、一戸建てかテナント開業かなどで設備投資の金額が違いますので、当然用意すべき自己資金の金額も違ってきます。 一般的には、自己資金は総予算の20%程度が目安となります。
ただし、自己資金が少ない場合でも、一度ご相談ください。
綿密な事業シミュレーションを行い、銀行交渉等を支援させていただきます。担保や保証人はもちろんですが、しっかりした経営戦略と事業計画があれば、資金調達もスムーズに行うことが可能です。
Q 開業資金の一部を親や親戚から援助してもらいたいのですが、どのようにしたらよいでしょうか?
A 両親や親戚などからの借入れということで、その返済が「ある時払いの催促なし」といった状態になっていると、贈与とみなされ、贈与税が課税されることもあります。
両親などからの借入金であっても、銀行借入れと同様、契約書を取り交わし、返済期間や利息などを決めておくことが必要です。
また、貸付金は相続が発生した時点で、相続財産に加算されますが、「相続時精算課税制度」を選択し一時的に一定額まで非課税とすることなども考えられますので、お悩みの方は一度ご相談ください。
Q 開業時銀行借入の返済期間はどのように設定すればよいですか?
A 返済期間はなるべく長期間で設定したほうが安全です。開業当初は収入も少なく、借入返済が資金繰りを圧迫するケースが多いからです。開業後、経営が安定してくれば、一括返済や返済期間の短縮もできますが、逆に、経営が安定しないため返済期間を延ばしてもらうことは大変厳しくなります。したがって、開業資金は金利条件よりも期間の長さにウェイトを置いて考慮すると良いでしょう。
Q 親・兄弟や親戚を保証人にしたくないのですが、担保がなくても融資してもらえるのですか?
A 一定額までであれば、無担保、無保証人の条件でも融資を受けることが可能です。また、奥様に一定の収入があれば、奥様を保証人にし融資を上積みすることもできます。
Q 融資申し込みに必要な書類は、自分一人で用意できますか?
A 単なる申し込みだけならご自身でもできますが、融資に際してはその開業が間違いなく成功し、借入金の返済も問題ないことを銀行に納得させる書類が必要となります。ご自身が多忙な中で合理的な根拠のある事業計画書などを用意することは大変ですので、やはり専門家の協力をうまく利用すべきといえます。
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開業場所の選定
Q 開業場所はどのように探したらよいのですか?
A 土地勘のあるところ、競合相手が少ない場所、集患しやすい場所、勤務している医療機関から近いところなどが開業場所となります。
ご自分で物件を探すのはもちろん、不動産業者、開業コンサルタントなどの情報を使って自分の理想とするクリニックを実現するのに最も適した場所を選定していきます。
紹介された物件の場合は、客観的に開業場所として適切であるかどうかご自身で必ず確かめ、先輩の開業医からも意見をもらい、慎重に決めるようにすることが肝心です。
Q 診療圏調査はどのようにすればよいですか?
A 人口統計、疾病統計、競合医療機関などの資料は市町村役場や保健所から入手できます。開業支援業者によっては、1次診療圏、2次診療圏について人口統計、医療機関の診療科目、院長の学歴などの情報が記載された資料を無料で提供してくれます。
しかし、提供された情報だけでなく、先生ご自身が診療圏を実際に歩き、場合によってはインタビュー等も行って肌で診療圏の実態を把握することが一番効果的です。
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内装・設備
Q 内装設備には通常、どのくらいかけるべきですか?
A 先生の目指す診療コンセプトや調達可能資金の額によって違います。
一般的には、内装工事の坪単価は40万~50万円程度といわれますが、先輩の開業事例なども情報として仕入れた上で、設計士や建築業者としっかり話し合い、納得できる内容と金額で行うことが大事です。
Q 知り合いに内装業者がいるのですが、専門業者に依頼した方がよいのですか?
A 医療機関の内装設備は特殊であり、経験やノウハウがないといざ開業してからいろいろ不都合が生じかねません。「知り合いだから」、「安くするというから」等の情報のみに惑わされずに、会社の実績等も考慮して冷静に判断する必要があります。
Q 資金が足りないのですが、医療器械はどこまでそろえるべきですか?
A まず、希望する医療器械の優先順位を決め、どの器械が本当に必要なのかを検討してください。導入したいが資金的にできない場合は、中古なら購入可能かも検討してもよいでしょう。軌道に乗ってから最新鋭のものを導入する方法も賢い方法といえます。
ゼロからの開業であることを念頭に、「必要最低限」を常に意識して考えることが重要です。
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その他
Q 医師会には加入した方がいいですか?
A かかりつけ医を念頭においた地域医療を目指すなら、加入したほうが有利でしょう。
医師会の加入は義務ではありませんが、加入することにより以下のメリットが考えられます。
・保険診療関連などの情報が得やすい
・医師国保に加入できる(ただし、自家診療はできません)
・地域検診などの点で有利
・医師会の先生との連携が取りやすい
・医師賠償保険が比較的安く加入できる   など
Q 開業前の費用は経費になりますか?
A 開業するまでの間に、開業準備のために特別に支出する費用は、開業費として開業年以降、任意の年に必要経費とすることができます。特別に支出する費用とは、開業と「直接」関係する費用ということです。
具体的には以下のようなものが該当します。
・開業指導を受けた医師等へのお礼や接待などにかかった費用
・業者との打合せや医師会への挨拶にかかった費用
・開業地探しのための旅費交通費
・開業のためのセミナー参加費や書籍代  など
したがって、開業を決め、動き始めたときから領収書やメモ(電車賃のような領収書のないもの)をしっかり保存して、その支出の目的、打合せや接待の相手先をしっかり記録し、開業のために直接関係した支出であることを明確にしておきましょう。
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運営・節税対策について
基本的節税対策
Q 30万円未満のものは全額費用にできると聞いたのですが?
A 使用可能期間が1年未満のもの、又は取得時に要した金額が10万円未満のものは、全額事業に使用した年の費用とすることができます。
また、青色申告をしている場合、1個あたり10万円以上30万円未満の償却資産であれば、年間累計額が300万円まで一度に経費として処理することができます。(ただし、資本金1億円超の法人は適用外)
Q 社員旅行は経費になりますか?
A 経費にはなりますが、社員旅行の内容や実施方法などで、①福利厚生費となるもの、②給与所得とされるもの、③交際費とされるものがあります。
1.福利厚生費となる要件
・4泊5日(海外旅行の場合は、目的地で4泊)以内であること
・50%以上の社員が参加すること
・1人あたり10万円程度の費用であること
2.社員の給与とされるケース
・自己都合で不参加となった社員に対して金銭を支給するとき
・旅行費用が高額であるとき
・一定ポスト以上の社員のみを対象として行われたとき
3.交際費とされるケース
・豪華なホテルや豪華な宴会・余興
Q 残業食事代は経費になりますか?
A 残業した人や宿日直した社員への夜食代は、原則として福利厚生費として経費とすることができます。社員に課税されることもありません。
ただし、その金額を1人あたり1,500円までなどと上限を定めているところが一般的です。
なお、税務調査に備え、残業や宿日直した事が客観的にわかる証拠を残しておく必要があります。
Q 海外渡航費は経費になりますか?
A 海外で開催される学会等の参加費は研修会費として経費とすることができます。
ただし、学会等の海外研修費の一部に現地観光の費用が含まれる場合、現地までの往復旅費は全額経費にすることができますが、残額については、業務に要した日数と観光に費やした日数の比によって按分し、観光部分に相当する費用は当事者の給与としなければなりません。按分する日数については、現地での移動日や日曜・祭日等、業務ができない日数は分母から除外して按分することができます。
Q ホームページの製作費は経費になりますか?
A ホームページの内容は一般的に頻繁に更新されるため、支出時に全額経費とすることができます。また、ホームページ上で予約ができるシステムの作成費用等は、ソフトウェアの開発費用に該当し、5年で均等に経費化していきます。業者からの請求書が「ホームページ作成費用一式」と記載され、ホームページ費用とソフトウェア費用が区分されていないと、全額をソフトウェアとして計上することになりますので、きちんと区分された明細書をもらうようにしてください。
Q 車両の購入を考えていますが、税務上新車と中古車どちらが有利でしょうか?
A ずばり中古車がおすすめです。ベンツを例に説明いたしますが、新車のベンツは1,000万円もしますが、発売から4年経った中古であれば400万円程度で購入できます。ベンツは堅牢にできているので、10年以上乗っている方も多くいます。
新車の場合は耐用年数6年ですが、4年落ちの中古車であればその耐用年数は簡便的に次のように算定することになります。
(新品の耐用年数6-新品から経過した年数4)+経過年数4×20%=2.8年→2年
この場合、減価償却費は次のようになります。
<平成23年3月31日までに取得した場合>
新車の場合:1,000万円×0.417=417万円(耐用年数6年の償却率=0.417)
中古車の場合:400万円×1.0=400万円(耐用年数2年の償却率=1.00)
<平成23年4月1日以降に取得した場合>
新車の場合:1,000万円×0.334=334万円(耐用年数6年の償却率=0.334)
中古車の場合:400万円×1.0=400万円(耐用年数2年の償却率=1.00)
中古の耐用年数が2年であれば、中古車購入代金がまるまる減価償却費として経費となります。しかも、減価償却費の額は新車と同じぐらいの金額になり、少ない資金で大きな節税メリットを得る事ができます。
病医院の経営環境が悪化しているなかで、あまり高額の車代金を支払うことは経営上好ましくありません。ベンツの中古ならそれなりの値段で買え、しかも、しっかりとした中古車市場があるので節税効果がなくなれば高値で売却できる、大変優れた節税商品といえます。
Q 決算が近いのですが、今からできる節税対策はありますか?
A 決算直前の節税対策には、「お金の支出を伴わない節税対策」と「お金の支出を伴う節税対策」があります。
(1) お金の支出を伴わないもの
1.給与締め後から決算期末までの給与分を未払いで計上する
2.未払金、未払費用を漏れなく計上する
3.不使用・不良の固定資産を除去する
4.不良債権となっている未収金を回収不能として債権放棄する など
(2) お金の支出を伴うもの
1.消耗品になるものを購入する(Q1参照)
2.修繕費となる修繕を行う
3.HP作成や広告宣伝費を使う
4.期末に翌年1年分の地代家賃等を支払う など
一例を挙げましたが、中には細かい適用要件があるものや契約変更などが必要なものも含まれています。決算直前の節税でお困りの方は、一度ご相談ください。
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個人病医院特有の節税対策
Q 「概算経費の特例」とはどのような制度ですか?
A 概算経費の特例(租税特別措置法26条)は、社会保険診療報酬が年間5,000万円以下の場合に、その額に対して一定の計算による概算金額(下表参照)を必要経費にすることができる制度です。
一般的には、経費の少ない比較的小規模なクリニックが利用すると大きく節税できます。
例えば、保険診療収入が4,500万円、自費等収入が100万円である場合、実際にかかった経費は仮に2,500万円であっても、3,055万円の経費があったものとみなして税金を計算してくれるので、このケースの場合年間約276万円も税金が少なくなります。
(概算経費の速算表)
社会保険診療報酬の総額 (年間) 概算経費額の速算式
2,500万円以下の場合 社会保険診療報酬×72%
2,500万円超3,000万円以下の場合 社会保険診療報酬×70%+500千円
3,000万円超4,000万円以下の場合 社会保険診療報酬×62%+2,900千円
4,000万円超5,000万円以下の場合 社会保険診療報酬×57%+4,900千円
実際にかかった経費でも、不必要と思われるものもかなりあるはずです。
そうした無駄な支出を削減すれば、それだけお金も残り、しかも税金は変わらないということで、財布に残るお金はさらに増えます。
社会保険診療収入が年間5,000万円を少し超える可能性がある場合でも、年間5,000万円以下となるように収入管理をして、この特例を適用したほうが有利な場合もあります。
金額の計算には専門的知識を要しますので、適用の可能性を考慮される場合は一度ご相談ください。
Q 青色事業専従者に支払った給与は、いくらまで経費になりますか?
A ずばり適正額の目安は以下の通りです。
1.専従者が医師の場合
 院長の所得を基準(客観的にはレセプトの金額の比率)に、若干低く定める
2.薬剤師など資格を有している場合
 薬剤師の給与に事務員の給与を加算し、年間800万円~1,000万円
3.資格はないが、実質的に事務長の場合
 院長の事業所得が2,500万円以上なら、年間700万円~800万円
専従者給与を支給して所得を分散すれば、全体の税金を軽減することができるため、税務調査ではその適正が争点となることがあります。専従者給与が過大であると否認されると、過大部分の金額は専従者への贈与とみなされ、院長には所得税の追徴、専従者には贈与税が課税されることまで考えられます。
税務否認されないためには、事務方であれば日頃の経理、給与計算、業者への支払い等だけでなく、銀行との打合せや経営税務セミナーへの参加など、従業員ではできない多大な貢献をしていることがわかる証拠を揃えておくことが大切です。
専従者給与の額は、税務署に届出した範囲内で支給しなければならないので、実際の支給額より若干高くして届けるのがポイントです。 なお、専従者には退職金を経費として支払うことはできません。
Q これだけはやっておくべきという節税対策はありますか?
A ・小規模企業共済への加入
小規模企業共済は、老後の生活資金を確保するためにもぜひ加入をおすすめします。
平成23年1月より院長先生だけではなく、専従者である院長夫人も加入できます。
小規模企業共済は、中小企業事業主のための退職金制度であり、診療所を廃業し、退職した後の生活資金をあらかじめ用意しておくための公的制度です。共済金の受取りは、一時払い(退職所得)または分割払い(公的年金等の雑所得)を選択でき、どちらも税制上優遇されています。
加入すると月額1,000円~70,000円の掛金を納付することになりますが、この掛金全額が「小規模企業等掛金控除」として所得金額から控除できます。
年間支払額は最大で84万円となるため、最高税率に達している院長先生の場合には、所得税・住民税で年間42万円の節税になります。
まだ未加入であれば、年末までに加入し、最高限度額の84万円を一括払いして節税していきましょう。
・国民年金基金への加入
国民年金基金は、自営業などの国民年金の第1号被保険者を対象に、国民年金に上乗せした年金を受取るための公的な年金制度です。年金受取時は、公的年金等の雑所得の扱いとなり税制上優遇されています。掛金は月額6万8,000円(年間81万6,000円)が限度額ですが、その掛金全額が「社会保険料控除」として所得金額から差引くことができます。小規模企業共済と同様、年末までに加入し、年末までに年間限度額を一括して支払い、節税することができます。
Q 家事関連費は必要経費となりますか?
A 1階は診療所、2階は自宅としているような場合、水道光熱費、固定資産税、地代家賃、火災保険料などは、事業用部分と家事用部分が混在して請求や支払がされています。このような経費を「家事関連費」といいます。
家事関連費を必要経費にするには、明らかな部分がわかり、その費用が業務に直接必要であることを立証する必要があります。
まず、診療所部分と自宅部分に、メーターなどを別々に設置できるものは設置して、診療所で使用した料金を明確にし、自宅で使用した料金のうちどれだけ事業用に直接使用したかを区分することが節税のポイントとなります。
自宅部分であっても、書斎や応接間など、実際は事業のために使われている部分が多くあれば、その部分も考慮して合理的に費用を按分するのが節税のコツです。
Q 交際費はどこまで必要経費になりますか?
A 個人病医院の場合には、薬剤費、診療材料費、医療器械の保守点検料、院内清掃料など、経営に直接結びつく経費(直接経費という)でないと、必要経費には認められません。
実際、個人会計事務所の所長がロータリークラブに加入し、そこから顧問先を増やしている実績があっても、ロータリークラブの会費は、会計事務所の経営には直接必要ではないとした裁判判決もあります。
交際費は、事業関係者などに対する接待、慰安、贈答などのためにする支出です。「経営に直接必要な交際費はないはず。交際費のほとんどは実質的には院長の個人的な経費であり、一歩譲ったとしても、間接的な経費である」と頭から決めつける税務調査官もいます。 しかし、患者さん紹介のお礼、レントゲン読影のお礼、税理士へのお礼などのために支出される交際費は、収入増加、的確な診療実施、節税による経営資金の増加など、個人病医院の経営に直接結びついた経費として認められるものです。
実務的には、接待飲食代の領収書に「患者甲の診療判断にアドバイスをもらったA先生に対するお礼」などと記載し、経営に直接必要な経費であることがわかるようにします。
このように処理しておけば、厳しい税務調査官に出会っても、簡単に税務否認されることはなくなります。
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医療法人特有の節税対策
Q 役員給与の考え方を教えてください。
A 役員給与を多くだせば、それだけ法人の利益は少なくなり、法人の税金は減ります。しかし、役員個人の税金は増えてしまいます。
そこで、役員と法人の税金を抑えるには、新たに役員として家族を入れ、役員数を多くすることによって役員給与を分散させ、所得税の累進課税率を軽減させることにより、全体で支払う税金を少なくします。
ただし、名ばかりの役員で業務実績がないと、税務調査で否認されてしまうので注意が必要です。家族役員には必ず業務を与えてください。
Q 役員給与の決め方、変更の仕方はどうしたらよいでしょうか?
A 最近では、年間1億円以上給与をもらう上場企業の役員もかなりいますので、法人の利益が相当出ていれば、「理事長である院長が自院の命」といえる病医院では、理事長の給与が過大であると否認されることは、まずないとみてよいでしょう。
そのかわり、期中に定期(毎月)同額で役員給与が支払われていないと、恣意的な利益調整があったとみなされ、定額を超える給与は、原則損金に算入できなくなりました。
また、役員給与は原則として期首から3ヵ月を過ぎたら変更できません。つまり、3月決算であれば、役員給与の改正は6月までに行い、それ以降は変更できないものと理解してください。
もちろん、役員給与には過大給与という概念があるので、名ばかりの役員で相応の業務を執行していないと当然、税務否認の対象となります。
Q 役員社宅の有利な使い方を教えてください。
A 役員の住宅を法人で取得すると、借入金の利息、固定資産税、建物の減価償却費などを法人の経費にすることができます。
ただし、居住している役員個人は法人に家賃を支払う必要がありますが、次の算式で算出した金額で法人へ家賃を支払えば、相場の半分以下でも課税問題は生じません。
1.一般の住宅の場合
{(家屋の固定資産税の課税標準額)×12%※+(敷地の固定資産税の課税標準額)×6%}×1/12=月額支払家賃※木造以外の家屋の場合は10%
上記で計算した家賃は、通常、相場の家賃の40%くらいになります。
ただし、床面積が240㎡以上の豪華な社宅や、240㎡以下でもプール付きや茶室のある豪華なものは、相場の賃料を支払わなければなりません。
社宅取得時に豪華社宅に該当しないかどうか注意が必要です。
2.小規模社宅の場合…床面積が132㎡以下(木造以外の家屋は99㎡以下)
(家屋の固定資産税の課税標準額)×0.2%+12円×家屋の床面積/3.3㎡+(敷地の固定資産税の課税標準)×0.22%=月額支払家賃
上記で計算した家賃は、通常、相場の家賃の30%程度になります。
3.借上げ住宅
一般住宅を借り上げて社宅とする場合は、実際に支払っている家賃の50%と上記算式の徴収すべき家賃とを比べ、高い方を支払います。
通常は、実際に支払っている家賃の50%となります。
Q 生命保険の上手な利用の仕方を教えてください。
A 1.個人の保険を法人に引き継がせる
個人で加入している積立型保険の契約および保険金の受取人を法人に変更すると、変更時点の解約返戻金分の金銭を法人から無税でもらえます。もちろん、それ以降の保険料は法人が支払いますので、個人の保険料負担もなくなります。
2.退職金として保険を譲り受ける
法人で掛けてきた保険を退職金として個人が譲り受ける場合、譲り受け時点の解約返戻金が退職金の額になるので、かなり有利な条件で保険の譲り受けができます。譲り受け後は個人として掛金を払うか、払済みにする方法があります。
3.ご子息には早めの保険加入
ご子息が役員になっていれば、保険料が損金として計上できる生命保険に早めに加入しましょう。保険料は若ければ若いほど安くなる上、節税効果もあります。ご子息が非常勤の役員の場合、役員報酬額の多寡について税務調査で問題になりますが、保険料については、保険金の受取人が法人になっているので税務上、特に問題になりません。
逓増定期保険や長期平準型定期保険などは、一部歯止めがかけられましたが、一定の要件のもと契約すれば節税効果はまだ充分あります。
法人が支払った保険料は一定額まで損金となり、法人が受取った保険金は雑収入となりますが、この資金をもとに損金となる役員退職金を支払という節税方法が一般的です。
複雑な保険商品も多いですが、弊社には保険のプロが在籍しておりますので、一度ご相談ください。
Q 出張手当てについて教えてください。
A 学会等の出張が多い法人なら、出張旅費規定を作成し出張手当てを支給します。出張手当ては全額経費になり、もらった側も所得税や住民税がかかりません。
問題は、税務上否認されない金額で設定することです。
基本的には、法人の規模や役職、出張における業務内容で決めることになります。次の基準であれば、ほぼ問題ないでしょう。
<出張手当て>
役職 宿泊する場合 宿泊しない場合
理事長 35,000円 10,000円
理事 30,000円 8,000円
部長 25,000円 6,000円
課長 20,000円 4,000円
それ以下 15,000円 2,000円
慶弔や見舞金も、慶弔規程を作成し、社会的にみて過大でなければ法人側は経費として支給でき、もらった側も課税されません。
ただし、出張や慶弔の事実がわかるように、関係書類を整備しておくことが大切です。
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