ホームページの戦略的活用

1. Bクリニックの概要

・院長性別: 男性 46歳
・標榜科目: 皮膚科、アレルギー科
・専門: 皮膚科
・所在地 都心23区内のテナントビル2階

 私鉄沿線の知名度の高い駅に近く、周辺は一般企業や飲食店等が入居しているビルが多い、いわゆる駅前繁華街の開業パターン。昼間人口は多いものの、この地に居住している夜間の人口は少ない状況。立地の利便性を考慮して専用駐車場は確保せず、その分内装工事に費用をかけました。自費診療も視野に入れ院内の雰囲気に高級感を持たせたいとの思いがあったためです。院長自身の構想は固まっていましたが、それでも友人の診療所を視察していろいろと検討し、最終的には木目基調の落ち着きのある内装としました。洗面所も他と比べると女性向きに広くし、パウダールームは2席、プライバシーに配慮する形で設置しました。
 壁面看板は決して大きくはないですが、デザインにこだわった院長は内装業者とは別の業者を選定、自院のコンセプトに沿ったものを制作しました。またホームページも開設し、医院の雰囲気や装備している医療機器、また自費診療に係る情報もきちんと案内しており、興味を引く内容になっていると自負していました。

2. 相談事項と問題点の発見

 開業後、2年経過しましたが、現在は平常期で40名程度で、皮膚科クリニックとしては順調な推移とはいえません。患者本位の診療スタイルには自信があるものの、資金繰りの問題もあって、自院に何が不足しているのか、自問自答の中で経営を続けていました。気付きのきっかけは院内食事会で最近採用したスタッフから聞いた話でした。
 「腰痛で整形外科を探したのですが、最近越してきたばかりでまだどこに行って良いかわからずインターネットで探しました。“地域の整形外科”を検索して最初のページから今のクリニックを選んだのです。」
 別のスタッフからは、
 「娘がかかっている小児科は携帯電話で予約ができるし順番待ちもわかって便利ですよ」
自院が対象とする患者層が医療を受けようとする場合に、まずどのように行動するのか、またどのような利便性を求めているのかを考えてみると、これまでその視点が抜け落ちていたことに気付かされました。
ホームページは開業当初から開設していたのですが、以来手を加えておらず、またそこからの集患がどの程度かはほとんど把握していませんでした。

3. コンサルティング

 開業前日に行った内覧会には100名程度の来場者があり、ここから院長は口コミによる増患には自信を持っていました。しかし、クリニックがあるのは昼間人口が中心の市街地であり、口コミの形成が比較的難しい地域性がありました。また診療内容の特性からしても、“まず自分自身で調べる”行動パターンに対していかにアピールできるかを考えることが最も重要です。そこで、始めてこられた患者さんにインタビューし、「どのようにしてクリニックを探し」、クリニックを選択するための情報として「何を知りたいか」について調査することにしました。
 調査の結果、

  知りたい内容
 1. 「診療科目や場所、診療日時等の基本的情報」
 2. 「医師の専門科目」や「医療設備の内容」
 3. 「連携病院」
 4. 「予約の有無」
 5. 「自費診療の内容と価格」 


 など。


  知った理由
 1. ホームページからが8割以上
 2. 知人の紹介2割弱


 “該当の地域 皮膚科”でインターネット検索してみたところ、Bクリニックの表示はかなり下位であり、個別名称で検索しない限りホームページには到達できそうもありません。さらに該当の地域・科目でトップに表示されている様々な診療科目のクリニックホームページを閲覧しても、確かにアピール力に欠けています。

4. 改善アクション

 1. SEO対策

 医療機関においても検索において上位表示されることは特定の地域(最寄駅など)から診療所を探す患者さんにとり非常に重要な要素となります。なお、位ヒットを維持するためには制作会社との連携のみならず、院長自身も定期的に情報発信するなど地道な努力が不可欠でもあります。
 2. 徹底したSEM対策
より広範なアクセスが得られるよう定期的にログ解析の提供を受けると共にキーワード対策を行いました。具体的には疾患名や症状のキーワードを季節ごとに変更することによりアクセスの増加を期待するものです。
 3. 携帯電話との連携
 スマートフォンのユーザーも急速に増えつつあることからコミュニケーション機能を充実させることを考慮し、携帯電話からの“お知らせ”閲覧と“予約受付”を 可能にしました。さらに患者さんがワンクリックで自院を紹介できる機能も持たせ、口コミのアシストにも使えるようにしました。なお、見直しにあたっては厚生労働省の「医療広告ガイドライン」並びに日本医師会が推奨する「医療施設ホームページのあり方」の内容をふまえてそれらを遵守したものになるよう留意しました。
 その結果、問診票にある“来院理由”を集計してみると「HPを見て(た)」との記載が目に見えて増加しており、手応えがしっかり感じられるようになりました。また携帯電話からの予約システムも好評で、OLだけでなく男性の新患も増え、その結果HP見直しから5ヵ月目には平均患者数が1日80人程度にまで増加する成果をあげることができました。ここで効果がもうひとつ。患者増に繋がったホームページの見直しに一役かったスタッフたちが、以前にも増してモチベーションが上がり、明るく前向きに笑顔で対応するようになったのです。さらなるプラスの循環が生まれたことはうれしい誤算となりました。

5. まとめ

 ホームページは情報を網羅的に直接発信できるなどの点で旧来の媒体より勝っている点が多く、また最近のホームページは「広報機能」のみではなく「コミュニケーション機能」を持つことで患者さんの利便性に大きく貢献しているものも増えてきており、医療機関にとって“ホームページをいかに戦略的に活用できるか”が成功の分かれ目となっています。
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