1人医師医療法人設立と運営上の留意点

医療法人の運営上の留意点

上手な運営で、医院の繁栄と家族の安心が得られます


医療法人とは「病院、診療所または老人保健施設の開設を目的とする」法人をいい、基本的には個人の病医院などが医療法の規定に基づいて都道府県知事にその設立を申請し、その認可をもって法人登記をすることによって設立運営されるものです。
個人病院・クリニックが医療法人となる場合、開設者が「院長個人」から「医療法人」に変わり、院長は医療法人の理事長となり病医院等の管理者となって施設および法人の運営を行っていきます。
税務的な視点からみると、個人時代にかかっていた「所得税」に代わって医療法人には「法人税」がかかることとなり、同時に医療法人の理事長となった院長には法人から給与が支払われることになります。医療法人の運営は、この税務面においてその収支構造や制度上の違いを利用していくことが非常に大切になりますが、一般的には
1.所得が高額になるほど所得税の税率が上がり、法人税の税率が相対的に低くなること
2.個人で認められなかった経費が法人では認められるようになること

の二点がその代表的なポイントといわれます。

院長・理事長への給与
個人時代に院長がいくら給与をとったとしても事業所得の経費にはなりませんが法人化すると理事長(院長)への給与は役員報酬となり、法人の経費となります。一方、役員報酬をもらう理事長(院長)にとってこれは給与所得となりますが、給与所得控除を受けることにより所得を自動的に圧縮できるメリットがあります。ただし、定期・同額でなければならないことや、過大な役員報酬は否認される可能性があることなど、注意しなければいけない点もあります。
生命保険契約
個人事業では特定の場合を除き、事業主を契約者とする生命保険は経費にならず、最高10万円の所得控除があるだけですが、法人での契約は一定の保険料を経費に計上することができます。長期平準定期保険・逓増定期保険などを活用して節税を図るとともに、将来の理事長退職金の準備を行うなどのプランが活用できます。
税負担を軽減できる
医療法人が解散する場合又は理事長に相続が発生した場合には、出資持分の定めの有無や後継者の有無により、異なる課税上の問題が発生します。 将来の税負担軽減を図るためには、医療法人設立初期の段階から対策を検討する必要があります。
  後継者あり 後継者なし
経過措置型医療法人 1 2
基金拠出型医療法人 3 4
1の場合
経過措置型医療法人で後継者がいる場合には、相続発生時の相続税負担の問題がでてきます。
この問題に対しては、「出資持分の贈与」や「死亡退職金の支給」等により出資持分の相続税負担を軽減する対策が必要になります。
なお、既に出資持分が大きくなってしまっている経過措置型医療法人の場合には、上記の対策の効果はあまり期待できません。そのような場合には特定医療法人への移行等を検討することも必要となります。
2の場合
経過措置型医療法人で後継者がいない場合には、残余財産の分配による配当所得課税の問題がでてきます。
このケースにおいては、配当としてではなく給与又は退職金として受け取ることにより税負担を軽減する対策が必要になります。「役員報酬額の調整」や「退職金の支給」等により、残余財産を出来る限り少なくすることがポイントになります。
3の場合
基金拠出型医療法人で後継者がいる場合には、相続発生時において大きな課税上の問題は発生しません。
4の場合
基金拠出型医療法人で後継者がいない場合には、解散時における残余財産の帰属問題が発生します。
このケースに対処するためには、「役員報酬額の調整」や「退職金の支給」等で医療法人に残余財産が残らないように、計画的な運営が必要になります。
医療法人になると開設者が法人になり、管理者が院長先生になるので事業承継もやりやすくなり、相続税の問題もなくなります。医療法人の理事長になった院長に役員給与が支払われることになります。税務面では、この役員給与をどのように設定するか、また、法人経営のメリットをどのように享受するかの巧拙で、経営が大きく違ってきます。

医療法人を円滑に運営していくためには、各分野の専門家のサポートが必要です。
アフェックスでは、税理士・社会保険労務士・司法書士が一体となって、貴院の運営をサポート致します。

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