開業が成功するかどうかは、開業地の選定にかかっている」と言っても過言ではありません。それ程重要な要因であるため、十分検討したうえで、自信と確信を持って開業地を選定したいものです。開業地として適しているためには、次のような立地条件を満たしていなければなりません。
具体的に特定の場所を決めるには、開業資金として調達できる金額からみて、また診療方針からみて必要とされるスペースや環境が確保できる物件であるかを検討しなければなりません。したがって、理想とする開業地を見出すことは大変難しいといえます。
理想にできるだけ近い開業地を見出すため、時間と労力を惜しんではいけません。
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開業する場所として最もポピュラーな立地。駅の1日の平均乗降客数や、乗り換えのための通過駅でなく周辺の住民がよく利用する駅であるかなど、また駅の改札口の数、各改札口の集中度合い、駐輪場の場所と広さ、駅につなぐメイン道路、駅のプラットホームから診療所や看板が見えるか等を調査し、優れていれば開業地として適しています。
ただし、駅前にはすでに競合医療機関があることが多く、また将来参入する医療機関もあることが当然予想されることから、特徴があり魅力のある診療所をつくりあげなければなりません。
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スーパーなどの商業施設のある周辺も開業地として有力。1日あたりの来客数の大きさ、平日、土日、祭日の来客数の変化を調べると同時に、出入り口の場所や数、駐車場の位置や出入り口などから、どのような人の流れになっているかを調べ、開業地として適しているか判断します。
開業地として有望である場合には、駅前立地と同様将来新規に参入する診療所もあることに留意しなければなりません。
- スーパーなどの商業施設内に医療スペースを造り、集客力をアップしようと企画する商業施設が増えています。医療スペースに複数の診療科目を構えるので患者さんにとっても便利であり、また、駐車場が広いとかなり診療圏も広がって、集客力の高い開業地として評価されます。駅前等の立地と違い、将来参入する競合相手がいないため、集客力が高い商業施設であれば、収益力も高く、安定した経営を展開することができます。ただし、医療スペースがわかりやすく動線もよい場所にあること、また、家賃や管理費はそれなりに高いので、開業資金の調達がポイントです。
- 診療圏は広くても半径500メートル以内になるため、駅やバス停に向かう人の流れにあう立地であるかがポイントです。また、昼間人口が1診療所当たり5,000人を確保でき、競合医療機関も少ないことが不可欠となります。
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医療ビルの中に複数の診療所が集まる形態で開業するスタイルです。全体の運営を支援する管理会社が介在するものや、各診療所が比較的自由に運営する形態もあります。メリットは、複数の診療所が集まることによる集患面での相乗効果といえます。
また、診診連携の促進という面からも大きな期待ができます。ただし、他の診療所とバッティングしない診療科目であることが重要です。
メディカル・モール自体の立地条件が悪い場合や、他の診療所の評判が悪いと患者さんが遠のく危険性があります。他の診療所と関係を良好に保つことが大切です。
不動産事業者や開業コンサルタントから物件を紹介され、その物件に興味を持った場合、後日紹介者を同伴せず、自分一人で現地に行き自分の目で立地調査することが大切です。年齢層別人の数や流れを知るためには、平日、土・日、祭日、午前、午後、夕方など曜日や時間帯をかえて現地を見なければなりません。2次診療圏(半径 1.5 ㎞) までの地域住民が対象となり得るので、その範囲における人口密度、年齢分布、所得 分布等を調べることも必要です。また、診療圏における競合相手となりそうな医療機関を調べ、付近の住民から評判を直接聞き出すことも不可欠とされます。競合医療機関については、院長の年齢、出身学校、医局、得意分野、設備状況、1日当たりの患者数などがチェックポイントです。競合医療機関と比べ、いかに自院がより魅力ある診療を展開できるかが重要なポイントとなります。
立地場所がある程度決まり、その診療圏で展開すべき診療方針もほぼ決まれば物件の絞り込みとなります。物件の間取りがよいか、窓の方向性がよいか、電気の容量、給排水設備、天井の高さ、看板の設置場所などを確認します。判断がつかないときは、設計士や内装業者等の専門家に確認してもらうことが必要です。そして、先輩の開業医や開業コンサルタントに意見を仰ぎ、配偶者の積極的な賛同のもと、開業地を決めるといった手順を踏むとよいでしょう。
物件の評価など、当社でもお手伝いしております。
どうぞ、お気軽にご相談ください。