最近は、保険診療だけでなく美容皮膚科診療(自費)も併設した開業が多くなってきています。保険診療の場合、顕微鏡とレセコン等少ない投資で開業できます。
一方、美容皮膚科の場合、レーザーなど高額な医療器械を揃える必要があります。そのため、地域性を考慮し、どの程度自費のニーズがあるか考慮したうえで、投資額を決定しなければなりません。また、皮膚科は、診療科目のなかでも診療単価が低いため、多くの患者を診る必要があります。そのため、2つの診療室を用意し、患者を交互に診察できるようにレイアウトしたクリニックも多くあります。
D先生は、まずは初期投資額を抑えるために保険診療を中心におこない、徐々に美容皮膚科の割合を増やしていく戦略をとることにしました。丁寧で分かりやすい説明を心掛けた結果、徐々に患者さんも増え、自費の割合も増えてきました。D先生は、開業9ヶ月で月平均外来患者数50人/日、単価5,000円をクリアでき順調なスタートをきることができました。さらに、今後診療の幅を広げるためレーザーなどの購入を検討しています。
皮膚科の特徴
Model Case
都心の医療モールで開業したD先生。「皮膚を通じて患者様の健康を守る」を理念に患者さんを取り巻く環境などを含めた総合的な治療をしたいとお考えです。また、健康講座を定期的に開催し正しいスキンケアの方法なども紹介したいと考えています。
金額単位:千円 ※テナント30坪 |
費用 | 資金調達 | ||
---|---|---|---|
土地取得 | 0 | 自己資金 | 4,168 |
内装工事費 | 19,807 | 銀行融資 | 50,000 |
医療器機 | 2,859 | リース | 1,575 |
什器・備品 | 2,221 | その他 | 0 |
開業準備金 | 4,168 | ||
敷金 | 1,758 | ||
運転資金 | 24,930 | ||
総事業費 | 55,743 | 調達合計 | 55,743 |
経営数値 | 金額単位:千円 |
項目 | 開業1年目 | 開業2年目 | 開業3年目 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | ||
A | 医業収入 | 53,824 | 100% | 77,484 | 100% | 108,922 | 100% |
B | 保険収入 | 50,924 | 95% | 71,107 | 92% | 79,270 | 73% |
C | 自費収入 | 2,900 | 5% | 6,377 | 8% | 29,652 | 27% |
D | 変動費(薬品・診療材料費等) | 4,012 | 7% | 9,698 | 13% | 9,323 | 9% |
E | 粗利益(A-D) | 49,812 | 93% | 67,786 | 87% | 99,599 | 91% |
F | 人件費(職員分) | 5,972 | 11% | 8,369 | 11% | 9,326 | 9% |
G | 地代・家賃・駐車料 | 7,920 | 15% | 8,036 | 10% | 8,822 | 8% |
H | リース料 | 315 | 1% | 315 | 0% | 315 | 0% |
I | 広告宣伝費 | 1,518 | 3% | 1,467 | 2% | 1,593 | 1% |
J | 減価償却費 | 3,257 | 6% | 4,995 | 6% | 5,733 | 5% |
K | その他経費 | 11,465 | 21% | 12,886 | 17% | 14,421 | 13% |
L | 固定費合計(F~K) | 30,477 | 57% | 36,068 | 47% | 40,210 | 37% |
M | 事業所得(E-L) | 19,365 | 36% | 31,718 | 41% | 59,389 | 55% |
N | 所得税・住民税 | 7,139 | 13% | 13,055 | 17% | 27,045 | 25% |
O | 借入金返済額 | 2,122 | 4% | 5,016 | 6% | 5,016 | 5% |
P | 可処分所得(M+J-N-O) | 13,361 | 25% | 18,642 | 24% | 33,061 | 30% |
SUPPORT POINT
美容皮膚科を中心に行いたいと検討していたD先生。しかし、開業当初から美容皮膚科(自費)のみだと集患に不安があります。そこで、開業当初は保険診療も行い徐々に自費の割合を増やしていくことをアドバイス。さらに、レーザーなどの購入も一部見送ったため、初期投資なども抑えることもできました。その後、順調に患者様が増え、次の段階(自費)への検討を始めています。